〇幸福(しあわせ) 監督:アニエス・ヴァルダ、1965年、仏、カラー80分
・自然光、印象派の画家が用いた色彩群、風景、補色。たとえばオレンジの補色は紫だから、金色に近い草に紫が混ざっていてもおかしくないという風に色彩設計をしている。森や町の中に存在する自然の色と光の戯れ、そこに登場人物たちの衣服や髪、建物、壁紙、小物、広告などの原色が組み合わされて生まれる色彩の運動。そしてあのニンフのように美しいテレーズが見せた最後の表情は何を表しているのか?テレーズ亡き後、エミリが周囲や家族に波風たてず、ごく自然に彼女の場所を引き継ぐ。私たち一人ひとりは唯一の存在ながら、その存在は取り替え可能である。どんな存在もかけがえのない価値を持ちながら時や心の移ろいの中で次のものにその場を譲っていく。そんな川のような生の流れに身を委ねることを「幸福」とよんでみたい。(坂本安美氏の解説より引用)
# by t-kashmir | 2024-02-23 10:30 | フランス映画