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新文芸座

 1月17日、1995年のこの日に阪神淡路大震災が発生、1959年の同じ日に山口百恵が誕生。
本日、朝から一人で池袋へ。久しぶりに小津映画を観る。
 「東京物語」(1953年松竹): 小津独特のローアングルの固定ショット、cm単位で人物、小道具の位置を決める完璧な構図など今更言うまでもない。無駄なカットが一つもない、客席に座っているだけで観ているものをただただ陶酔させる珠玉の日本映画。小学校教師・京子(香川京子)の朝の出掛けの場面は立ったままで白いソックスをはくシーンです。この監督のきめ細かい観察力をあらためて感じた。
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 「東京暮色」(1957年松竹):小津映画では異色の沈鬱な物語。明子(有馬稲子)が恋人の不甲斐なさに絶望し、自殺を図って列車にはねられる。病院に駆け付けた父と姉に「死にたくない。やり直したい。」とうわ言を言う。次のシーンはリズミカルな音楽で昼間の戸外のシーン。観客は絶望から希望へ転換する明子を予感するが、次のシーンで明子の姉が家族を裏切った母親に「あきちゃんは死にました。」と告げる。明るい昼間の戸外のシーンに違和感を感じたが、このシーンの挿入でこの暗いストーリーを軽妙に編集しているのだろう。
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 この2本の映画を観ると良く分かるが、昭和30年頃の日本では老若男女問わずどこでもタバコをくわえている。現在のスモーカーにとっては羨ましい良き時代だったか?

by t-kashmir | 2016-01-17 09:40 | cinema  

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