人気ブログランキング | 話題のタグを見る

おろしや国酔夢譚 (井上靖 著 7冊目)

 1783年、伊勢白子(現鈴鹿市)の船頭である大黒屋光太夫は、江戸への航海途中に漂流し、アリューシャン列島のアムチトカ島に漂着。その後ロシア人に助けられ、シベリアの首府イルクーツクに滞在した。ここで学者のキリル・ラックスマンの援助で、帰国請願のためサンクトペテルブルクに向かい、1791年、エカチェリーナ2世に拝謁して、帰国の儀を聞き届けられている。おろしや国酔夢譚 (井上靖 著 7冊目)_b0146794_10181468.jpgおろしや国酔夢譚 (井上靖 著 7冊目)_b0146794_10174174.jpg









(写真はエカチェリーナ2世の肖像とエカテリーナ宮殿) サンクトペテルブルク(単にペテルブルクとも)はロシア帝国時代の首都でソ連時代のレニングラードである。ここにはエルミタージュ美術館があり、もともとはエカチェリーナ2世自身の美術品展示室であったものである。

帰国後の光太夫が伊勢へは戻れず江戸で幽閉の身になったということで何とも言えない暗い結末であるが、この小説が書かれた後に発見された資料では、江戸では比較的自由な生活を送っていたとのことで慰められた。

by t-kashmir | 2012-05-29 21:00 | reading  

<< わが母の記 (井上靖 著) 8冊目 谷津バラ園 >>